宅建業法

他人物売買

基準日 2026年4月1日。更新 2026年10月9日。 論点ノート一覧

結論

民法と宅建業法では、他人の物を売る話の結論が違います。民法では、他人の権利を目的とする売買は、そのことだけでは無効になりません。売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負います。

宅建業法は、宅建業者が自ら売主となる売買を別に制限します。自己の所有に属しない宅地や建物について、自ら売主となる売買契約を原則として結べません。予約もこの売買に含まれます。

分かれ目は、業者が自ら売主かどうかです。媒介や代理、交換は、この制限の対象ではありません。

要件・数字

  • 民法では、他人の権利を売る契約は、そのことだけでは無効にならない。売主は権利を取得して買主に移転する義務を負う
  • 宅建業法の制限が及ぶのは、宅建業者が自ら売主となる売買。予約も含まれる
  • 媒介により売買を成立させる行為、代理として契約を結ぶ行為、交換契約は、この制限の対象ではない
  • 例外の一つは、取得契約など。予約も含まれる。取得できることが明らかな場合で省令が定めるときも含まれる。効力が条件にかかっている取得契約は、この例外には当たらない
  • 別の例外は、工事が終わる前の売買で、手付金などの保全措置が講じられているとき。条件付きの取得契約でも、この例外は別に使える
  • 完成した物件について保全措置をしただけでは、この例外にはならない
  • 売主が登記名義人であることは、例外の要件ではない
  • 権利を移転できないときは、415条の損害賠償と、541条・542条の解除の問題になる
  • 宅建業者相互の取引には、78条2項によりこの制限は適用されない。買主が法人であるだけでは外れない

よくあるひっかけ

  • 他人の物を売る契約は民法でも無効

    民法では、他人の権利を目的にしても、そのことだけでは契約は無効になりません。売主は、権利を取得して買主に移す義務を負います。禁止されるのは、宅建業者が自ら売主となる場合の業法の話です。

  • 媒介も同じ禁止

    制限の対象は、業者が自ら売主となる売買です。媒介は、業者自身が売主になる取引ではないので対象外です。

  • 予約なら結べる

    自ら売主となる売買契約には予約が含まれます。予約だからまだ売買ではない、では抜けられません。

  • 交換も売買と同じ

    この規定が制限するのは売買です。交換契約は対象ではありません。

  • 取得契約があっても登記名義がなければダメ

    例外の要件は、取得する契約を結んでいることなどです。売主が登記名義人であることは求められていません。

  • 条件付きの取得契約でも例外

    効力が条件にかかっている取得契約は、取得契約などによる例外には当たりません。工事完了前の売買で手付金などの保全措置が講じられていれば、保全措置による別の例外には当たり得ます。

  • 保全措置をすれば完成物件でも例外

    保全措置による例外は、工事完了前の、手付金などの保全が問題になる売買です。完成した物件への保全措置では、この例外になりません。

  • 買主が法人なら業者間と同じ

    適用が外れるのは、宅建業者相互の取引です。買主が法人であるだけでは外れません。

暗記カード

カードをタップすると裏を表示します。

民法では、他人の物の売買契約はどうなるか タップで裏を見る

そのことだけでは無効にならない。売主は権利を取得して買主に移転する義務を負う。

業法の制限が及ぶのは、自ら売主・媒介・交換のどれか タップで裏を見る

自ら売主となる売買。媒介も交換も対象外。予約は売買に含まれる。

取得する契約があれば、登記名義は必要か タップで裏を見る

不要。例外の要件は取得契約などであり、登記名義人であることは求められない。

業者間と、買主が法人のとき、制限はどうなるか タップで裏を見る

宅建業者相互の取引には適用されない。法人というだけでは外れない。

この論点を書いて確かめる

読んだ内容を、誤り肢の理由として書いて確かめます。

基準日時点の整理です(民法561条、民法415条、民法541条、民法542条、宅建業法33条の2、宅建業法41条1項、宅建業法78条2項、宅建業法施行規則15条の6)。条文の写しではありません。