宅建業法

報酬の計算(売買・交換・貸借)

基準日 2026年4月1日。更新 2026年10月28日。 論点ノート一覧

結論

宅建業者が宅地・建物の売買、交換、貸借の代理または媒介で受けられる報酬の額は、宅建業法46条により国土交通大臣が定め、告示します。告示の額は上限です。その額を必ず請求できる、ではありません。超えて受けてはなりません。

売買または交換の媒介では、依頼者の一方ごとに、税抜きの代金(交換は税抜きの価額で、差があれば多いほう)を区分します。課税事業者の上限は、200万円以下が5.5%、それを超え400万円以下の部分が4.4%、400万円を超える部分が3.3%で、報酬額に消費税等を含みます。400万円超の速算は、代金×3.3%+6.6万円です。売主と買主の双方から受けるときも、それぞれこの上限までです。

貸借の媒介では、双方から受ける額の合計が、税抜きの借賃1月分の1.1倍以内です。居住の用に供する建物の賃貸借は、媒介の依頼を受けるに当たってその依頼者の承諾がなければ、一方からは借賃1月分の0.55倍以内です。

税抜き800万円以下の宅地・建物(低廉な空家等)の売買・交換の媒介では、費用を勘案して通常の計算を超えられます。その依頼者から受ける額は、30万円の1.1倍を超えません。金額で定義され、使用の状態は問わないと解釈・運用の考え方にあります。通常の計算を超えて受けるときは、媒介契約を結ぶに際して、あらかじめ報酬額を説明し合意する必要があります。結んだあとでは足りません。

売買・交換の代理は、媒介の計算額の2倍以内です。相手方からも受けるときは、合計がその2倍を超えてはなりません。貸借の代理も、相手方からも受けるときは合計が借賃1月分の1.1倍以内です。

要件・数字

  • 上限を定めるのは宅建業法46条1項で、国土交通大臣が告示する。2項はその額を超えて受けることを禁じ、4項は事務所ごとに公衆の見やすい場所へその額を掲示することを求める
  • 対象は、宅地または建物(建物の一部を含む)の売買・交換・貸借の代理または媒介。業者が自ら当事者として受け取る代金そのものは、この報酬ではない
  • 告示の額は上限であり、その額を請求できる定めではない
  • 売買・交換の媒介(課税事業者)は、依頼者の一方につきそれぞれ、税抜きの代金または価額を区分して合計する。200万円以下は5.5%、200万円を超え400万円以下の部分は4.4%、400万円を超える部分は3.3%。この報酬額には消費税等相当額を含む
  • 速算は、その区分合計と同じ額になる式である。200万円以下は代金×5.5%。200万円超400万円以下は代金×4.4%+2.2万円。400万円超は代金×3.3%+6.6万円。告示の表と別の上限ではない
  • 交換は、消費税等を含まない価額を使う。差があるときは多いほうであり、両方は足さない
  • 売買・交換の代理は、媒介の計算額の2倍以内。相手方からも受けるときは、その額と代理の依頼者から受ける額の合計が、媒介の計算額の2倍を超えてはならない
  • 貸借の媒介で双方から受ける額の合計は、税抜きの借賃1月分の1.1倍以内。使用貸借は、その宅地または建物の通常の借賃を使う
  • 居住の用に供する建物の賃貸借では、媒介の依頼を受けるに当たってその依頼者の承諾がなければ、一方から受けられる額は借賃1月分の0.55倍以内。依頼を受けたあと承諾を得ても、この承諾にはならない。解釈・運用の考え方は、専ら居住の用に供する建物をいい、事務所や店舗を兼ねるものは含まない、としている
  • 0.55倍の制限があるのは、居住の用に供する建物の賃貸借だけである。それ以外の貸借媒介は、合計が1.1倍以内であれば、一方だけからその全部を受けることもできる
  • 貸借の代理は、依頼者から借賃1月分の1.1倍以内。相手方からも受けるときは、合計がその1.1倍を超えてはならない
  • 居住用建物以外の賃貸借で、返還されない権利設定の対価(権利金)があるときは、その税抜きの額を売買代金とみなして計算できる。媒介なら売買媒介の計算、代理なら売買代理の計算である。解釈・運用の考え方は、返還されない礼金を権利金に含め、返還される敷金は含めない、としている
  • 低廉な空家等は、税抜きの代金または交換の価額(差があれば多いほう)が800万円以下の宅地または建物をいう。解釈・運用の考え方は、使用の状態を問わない、としている
  • その売買・交換の媒介では、費用を勘案して通常の計算額を超えて受けられる。その依頼者から受ける額は30万円の1.1倍(33万円)を超えてはならない。費用の実費で頭打ちにする定めではなく、費用を上回る額もこの上限の中では受けられる
  • 税抜400万円の通常計算は19.8万円(200万円×5.5%+200万円×4.4%)。低廉な空家等ならこれを超えられるが、33万円は超えない。税抜800万円の通常計算は800万円×3.3%+6.6万円=33万円で、特例の上限と一致する。通常計算を超えられるのは、通常計算がこれより小さいときである
  • 低廉な空家等の代理は、媒介の特例で算出した額の2倍以内。相手方からも受けるときは、合計がその2倍を超えてはならない
  • 長期の空家等の貸借媒介は、借主から受ける額が通常の上限以内である場合に限り、費用を勘案して双方の合計を借賃1月分の2.2倍まで広げられる。解釈・運用の考え方は、通常の上限を超えて受けられるのは貸主からに限られる、としている。告示は「長期間」の年数を定めていない
  • 長期の空家等の貸借の代理では、相手方から受けないとき、貸主から借賃1月分の2.2倍以内まで受けられる。解釈・運用の考え方は、借主である依頼者から受ける額は貸借の代理の通常の上限(借賃1月分の1.1倍)を超えない、としている
  • 低廉な空家等の媒介、または長期の空家等の貸借の媒介で、通常の計算を超えて受けるときは、媒介契約の締結に際し、あらかじめ、上限の範囲内で報酬額を依頼者に説明し、合意する必要がある。低廉な空家等の代理、または長期の空家等の貸借の代理で特例により受けるときも、代理契約の締結に際し、同じである。締結に際しのあらかじめなので、契約を結んだあとで合意すれば足りる、ではない
  • 消費税の納税義務を免除される業者の上限は、課税事業者の計算額に100/110を乗じた額に、仕入れに係る消費税等相当額と、依頼による広告料金を加えた額以内。解釈・運用の考え方は、仕入れ分の転嫁を税抜きの報酬額の0.04倍までに限る
  • 第2から第10まで以外の報酬は受けられない。例外は、依頼者の依頼によって行う広告の料金である。解釈・運用の考え方は、案内料、申込料、依頼によらない広告料金は受けられない、としている
  • 解釈・運用の考え方は、複数の業者が一つの売買または交換を媒介するとき、同じ依頼者の一方から受ける報酬の合計を、その依頼者についての上限以内に収める、としている

よくあるひっかけ

  • 税込の代金で速算する

    割合をかける代金、交換の価額、借賃は、消費税等相当額を含みません。課税事業者の報酬の上限額の側に、消費税等が含まれます。税込の代金に5.5%や3.3%を掛けると、上限を高く見積もります。

  • 双方の合計が速算の1回分

    売買・交換の媒介は、依頼者の一方につき、それぞれ上限まで受けられます。合計を1回分にまとめる定めはありません。合計が媒介の計算額の2倍以内になるのは、代理で相手方からも受けるときです。

  • 居住用は承諾なしで1か月分

    双方の合計が借賃1月分の1.1倍以内なのは、居住用も同じです。居住用建物は、依頼を受けるときにその依頼者の承諾がなければ、一方からは0.55倍以内です。承諾の時期は契約時ではなく、依頼を受けるに当たってです。依頼後の承諾は、この承諾になりません。

  • 800万円以下なら33万円をもらえる

    低廉な空家等の媒介は、費用を勘案して通常の計算を超えられる特例です。その依頼者から受ける額は30万円の1.1倍を超えてはならず、その額を請求できる定めでもありません。定義は税抜き800万円以下の宅地または建物です。使用の状態は問わない、と解釈・運用の考え方にあります。

  • 交換は両方の価額を足す

    交換の計算は、消費税等を含まない価額です。差があるときは多いほうを使い、両方は合計しません。

  • 特例の合意は契約のあとでよい

    低廉な空家等の媒介で通常の計算を超えるときと、長期の空家等の貸借の媒介で通常の計算を超えるときは、媒介契約を結ぶに際して、あらかじめ、上限の範囲内で報酬額を説明し合意します。代理の特例で受けるときも、代理契約を結ぶに際して同じです。結んだあとで合意すれば足りる、ではありません。

  • 低廉な空家等は実費まで

    費用を勘案する、は実費の額で頭打ちにする意味ではありません。解釈・運用の考え方は、費用に相当する額を上回る報酬を禁ずる趣旨ではない、としています。超えられないのは、その依頼者について30万円の1.1倍です。

  • 使用貸借は報酬を計算できない

    使用貸借でも借賃をゼロとはしません。その宅地または建物の通常の借賃を基礎に、貸借の上限を計算します。

比較

売買媒介の上限(課税事業者)
税抜の代金告示の割合区分合計と同じ速算
200万円以下5.5%代金×5.5%
200万円超400万円以下4.4%代金×4.4%+2.2万円
400万円超3.3%代金×3.3%+6.6万円

時系列

  1. 代金は税抜きで見る

    建物代金に消費税等が乗っていても、計算の基礎からは除きます。税込550万円で税抜500万円なら、使うのは500万円です。

  2. 区分して合計する

    200万円×5.5%は11万円、次の200万円×4.4%は8.8万円、残る100万円×3.3%は3.3万円。合計は23.1万円です。

  3. 速算と一致する

    400万円を超えるので、500万円×3.3%+6.6万円=16.5万円+6.6万円=23.1万円。依頼者の一方から受けられる上限(消費税等を含む)は23.1万円です。

  4. 双方から受けるとき

    売主と買主のそれぞれについて23.1万円以内です。二人の合計を23.1万円まで、とする定めはありません。代理で相手方からも受けるときは、合計がこの計算額の2倍以内です。

税抜500万円の売買媒介

暗記カード

カードをタップすると裏を表示します。

400万円を超える売買媒介の速算(課税事業者) タップで裏を見る

税抜代金×3.3%+6.6万円。依頼者の一方につき、消費税等を含んだ上限。

売買媒介を双方から受けるときの合計 タップで裏を見る

それぞれ一方の上限まで。合計を1回分に圧縮する定めはない。

居住用の賃貸借媒介で、承諾がない一方からの上限 タップで裏を見る

税抜借賃の1月分の0.55倍以内。双方の合計は1.1倍以内。承諾は依頼を受けるとき。

低廉な空家等の上限と、通常計算を超えるときの説明はいつか タップで裏を見る

税抜800万円以下。30万円の1.1倍を超えない。通常計算を超えるときは、媒介契約の締結に際しあらかじめ説明し合意する。結んだあとでは足りない。

交換で価額に差があるとき、どちらを使うか タップで裏を見る

消費税等を含まない価額のうち、多いほう。合計しない。

売買の代理で、依頼者と相手方の両方から受けるとき タップで裏を見る

二つの合計が、媒介の計算額の2倍以内。依頼者だけで2倍を受け、相手方は別枠、ではない。

この論点を書いて確かめる

読んだ内容を、誤り肢の理由として書いて確かめます。

基準日時点の整理です(宅建業法46条、昭和45年建設省告示第1552号、宅建業法の解釈・運用の考え方(令和7年4月1日施行版の第46条第1項関係。令和8年4月1日施行版も同文))。条文の写しではありません。